Tourism passport web magazine

学校法人 大阪観光大学

〒590-0493
大阪府泉南郡熊取町
大久保南5-3-1

学校法人 大阪観光大学

〒590-0493
大阪府泉南郡熊取町 大久保南5-3-1

大阪観光大の学生や教員が運営する WEBマガジン「passport」

Osaka University of Tourism’s
Web magazine”passport”

「passport(パスポート)」は、観光や外国語、国際ニュースなどをテーマに、 大阪観光大学がお届けするWEBマガジンです。
記事を書いているのは大阪観光大学の現役の教授や学生たち。 大学の情報はもちろん、観光業界や外国語に興味のある方にも楽しんでいただける記事を定期的に公開していきます。

千葉・成田山新勝寺における講演のご報告

 2025 年 10 月 11日に、大本山成田山新勝寺・第41回仏教文化講座において、本学の佐久間留理子教授が「ジャータカとタイ仏教」と題する講演(招待)を行いました。成田山新勝寺は、成田国際空港の近くにあり、多くの外国人観光客が訪れる観光スポットの一つでもあります。
 講演では、スリランカや東南アジアに伝わるパーリ語聖典に収められたジャータカ(釈迦の前生物語・全547話)の中から、タイ国で特に親しまれている 10話を紹介するとともに、それらに関連した寺院の壁画や写本の挿画について解説しました(写真)。

ジャータカは、元来インドの仏教徒が口承で伝えた説話集であり、輪廻転生(りんねてんしょう)の考え方を背景に、釈迦が前世の様々な境涯(国王・王・商人・天人・動物など)において善き行いをしたことを説くものです。日本にも、漢訳経典によってジャータカが伝わり、その一つは、奈良・法隆寺の国宝・玉虫厨子(たまむしのずし)(飛鳥時代・7世紀)の「捨身飼虎図」(前世の釈迦が飢えた虎の親子に我が身を捧げる図)に描かれています。
 タイ国では、パーリ語聖典547話の最後を飾る「布施太子前生物語」(釈迦が前世において惜しみなく人々に施しをした話)が最も重視されています。これを聴聞すれば、多くの福徳を積むことができると考えられており、寺で聴聞することや、葬式などで僧を招いて読誦してもらう慣習があります。
 外国人観光客でもジャータカの概要を知っていれば、寺院壁画を読み解くことができ、タイ国の仏教文化を身近に感じることができます。このようにジャータカは、異文化理解の鍵となる説話文学と言えるでしょう。

文責 観光学部・教授(宗教学) 佐久間留理子 博士(文学)
大学憲章 2022 「3つの社会的使命 II, III」

記事一覧