Osaka University of Tourism’s
Web magazine”passport”
「passport(パスポート)」は、観光や外国語、国際ニュースなどをテーマに、
大阪観光大学がお届けするWEBマガジンです。
記事を書いているのは大阪観光大学の現役の教授や学生たち。
大学の情報はもちろん、観光業界や外国語に興味のある方にも楽しんでいただける記事を定期的に公開していきます。
日本人は本当に幸せ?
これは何の写真でしょう。何やら踊っているような?でもどこかの教室みたいですね。
正解はタイで日本語教師を目指す学生たちが、大学で日本語クラスの模擬授業をしている様子です。
彼らが教える対象は中学・高校生。楽しく言語を身につけてもらおうと、全身反応教授法(TPR:Total Physical Response)を取り入れた授業をしています。TPRというのは、幼児が母語習得する過程に着目し、言語と動作を結び付けて学ばせようという教授法です。
さて、私は以前タイでこのような学生たちに日本語や日本語教育について教えていました。日本とは異なる文化の中で仕事をするのは初めての経験。しかも「きっちりした日本人」とはある意味真逆の「マイペンライ(なんとかなるさ)のタイ人」との協働はかなり刺激的でした。そして、よく言われる「日本の常識は世界の非常識」を私も体験することになりました。
ある時、「日本祭」をやろう!ということになりました。大学の様々な部署の方々との打合せ、ポスターやチラシでの告知、浴衣の着付け・七夕飾りなどのイベントブースの準備などなど、やるべきことはたくさんあります。・・・が、もう当日が迫っているのに何も進んでいる形跡がない!焦りまくる日本人(=私)。
ところが、日本祭の直前になると、街のどこかでチラシを作ってきてそれを配り、ブースは見る見るうちに完成し、しかもお揃いのTシャツまで作ってしまう機動力。まさに「マイペンライ」の底力を見せつけられた瞬間でした。日本人なら何か月も前から入念に計画を立て、準備をして、リハーサルまでやってしまうかもしれません。イベントを成功に導くために、それは決して悪いことではありません。ただ、常に時間に追われ、長い時間ストレスを感じて疲れ切ってしまう日本人と、瞬発力と団結力で最後にはものの見事に形にしてしまうタイ人、どちらが幸せなんだろうと考えさせられる出来事でした。
日本祭
日本祭のTシャツ
このように単なる旅行だけでなく、外の世界で生活をしてみて初めてわかる日本というものがあります。日本語の先生になろうと熱心に取り組むタイ人学生との出会い、日本人であること・日本の文化の特殊性をわからせてくれたタイでの生活、それらは私の宝物となりました。若い人たちにもぜひ外の世界に目を向けて、そのような経験をしてほしいと思っています。それはその後の人生の道標になるかもしれません。
最後に、もう一つのタイ人気質を表す言葉「サバーイサバーイ(気楽にいこうよ)」。
ある日、バンコク市内から空港にタクシーで移動中、大渋滞が発生。飛行機に間に合わないので運転手に「急いでください」と何度も言うのですが、戻ってくる答えは「サバーイサバーイ」。いや、「サバーイ」じゃないでしょ。案の定、空港に着いた時は出発時刻の40分前で、運転手「ここから走れ!」。飛行機には無事乗れました。やはり「サバーイサバーイ」は間違っていなかった?