Tourism passport web magazine

学校法人 大阪観光大学

〒590-0493
大阪府泉南郡熊取町
大久保南5-3-1

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大阪観光大の学生や教員が運営する WEBマガジン「passport」

Osaka University of Tourism’s
Web magazine”passport”

「passport(パスポート)」は、観光や外国語、国際ニュースなどをテーマに、 大阪観光大学がお届けするWEBマガジンです。
記事を書いているのは大阪観光大学の現役の教授や学生たち。 大学の情報はもちろん、観光業界や外国語に興味のある方にも楽しんでいただける記事を定期的に公開していきます。

地域振興とツーリズムとの関わり

地域振興とツーリズムに関する研究のために訪れてきた地域として、三重県の南部に位置する東紀州地域(尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町)がある。同地域には、人口減少、過疎化、高齢化の進行、地域経済の低迷などに対し、地域振興に向けて取り組むべき多くの課題がある。ツーリズムに関しては、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録され、その後、尾鷲市では「三重県立熊野古道センター」、「夢古道おわせ」、熊野市では「里創人 熊野倶楽部」といった集客や交流などの拠点となる施設が開設、整備された。熊野市にはビジターセンターとしての役割をもつ「紀南ツアーデザインセンター」がある。また、紀勢自動車道の開通などによる交通アクセスの向上が進んでいる。同地域では、このような動向、変化を示しつつ、地域振興、それを促す効果を期待したツーリズムへの取り組みが行われている。

こうした地域の事例をふまえることによって、地域振興とツーリズムとの関わりに関する重要な点の例として以下を示すことができる。

まず、地域振興は、総合的、複合的に推進する必要があり、経済や環境などの多面的な領域と多様な関わりをもつことになる。また、地域は異なった条件、特性をもっており、各々の地域ではそれらに適合した地域振興、そのためのツーリズム推進のあり方を明らかにすることが求められる。その際には、地域経済振興や環境保全などのための異なった領域における方策の効果を焦点とする、あるいは、重視することや、それらに基づく取り組みを行うことなどを視野に入れる必要がある。

また、地域振興、ツーリズムには、地域住民、ツーリスト、企業、事業者、行政などの多様な主体が関わっている。地域振興、そのためのツーリズム推進に関しては、個々の主体の特性、活動や行動、それらの相互関係に着目することが不可欠であり、そこで重視すべきことを基に、望ましい地域振興の実現、それに効果をもたらすツーリズム推進のための仕組み、方策を構築、具体化することが重要である。

こうしたことは多様な空間との関わりをもつ。グローバルなスケールで展開する活動や行動と一体化、直結する、あるいは、ローカルなスケールで緊密化する活動や行動が焦点となる、また、両者間に多様で錯綜した関係が形成されるといった多様な空間との関わりが、地域振興とツーリズムとの関わりのさまざまな側面でとらえられる。

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