Osaka University of Tourism’s
Web magazine”passport”

「passport(パスポート)」は、観光や外国語、国際的な話題を切り口に、大阪観光大学の学びや取り組み、その魅力を発信するWEBマガジンです。
本学教員による記事を中心に、大学の特色や観光分野に関する知見、国際社会とつながる視点をわかりやすく紹介しています。
観光業界や外国語、国際交流に関心のある方にとって参考となる内容をお届けしていきます。
それでもあなたは行列に並びますか?
いきなり個人的な話で恐縮ですが、私は行列に並ぶということが嫌いです。もっと言えば見るのも嫌です。従って、本当に余程のことがない限り、自ら行列に並ぶということはしません。自分の記憶をたどってみても、自らの意志で能動的に行列に並んだのは、これまでの50年の生涯で2度だけ(1983年と1985年にそれぞれ1度ずつ)です。
ところで、現在の世の中は、ある意味「行列ブーム」です。雑誌やテレビなどでは「行列のできる店」などという特集がたびたび組まれ、また、新しいiPhoneが発売されるとなると、数日前からそれを買い求めるための長い行列ができるといった具合です。きっと他人よりも先に入手できたときの達成感などを想像しつつ、彼らは彼らなりに充実した時間を行列に並びながら送っているのだろうと(私自身は全く理解できないながらも)想像しております。
さて、ここではこの「行列に並ぶ」という行為を経済学的に考えてみることにします。そこで登場するのが「機会費用」という経済学における大変重要な概念です。機会費用とは「ある行動を選択する時に失われることになる、他の選択可能な行動によってもたらされる最大の利益」のことです。すなわち、我々がある行動を選択した場合、それはそれ以外の行動を選択することによって得られたはずの利益を犠牲にしている(=費用を支払っている)ということになるのです。
そこで、次のような状況を考えてみましょう。
いま、ある外国の有名かつ評判のパンケーキ屋さんが日本に初めて出店し、その店には連日3時間待ちの行列ができていたとします。パンケーキ1つの値段が1500円だとした場合、それを食べた人が負担する経済学的な費用はいくらになるでしょうか?
もちろん、店で支払った「1500円」が答えではありません。もし、あなたのアルバイトの時間給が1時間当たり1000円だとするならば、そのパンケーキを食べるために3時間行列に並んだことによる機会費用「3000円」分を含めて計算しなくてはなりません。すなわち「1500円+3000円=4500円」。これが、あなたがこのパンケーキを食べるために費やした経済学的な費用となります。
食べた後に「4500円出しても十分なパンケーキだった」と思えば3時間並んだ価値はあると思いますが、もしそうでなかったとしたら・・・。
それでもあなたは行列に並びますか?










