Osaka University of Tourism’s
Web magazine”passport”

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2026年度日本法社会学会学術大会における研究発表のための京都大学出張
2026年5月16日(土)、京都大学で開催された2026年度日本法社会学会学術大会において、「行政事件訴訟過程の事例研究 道路交通法を例にして -日本では、運転者の行為を警察官が物理的に現認できない場合に、国家は運転者を行政的に処罰できる。-」と題する研究発表を行った。ありがたいことに、10名ほどの方の訪問があった。

これまでは個別セッションやグループセッションにおいて研究発表を行なってきたが、今回は手続のタイミングによりポスターセッションで研究発表することとなった。個別セッション等では、まとまった発表を1回行なって、フロアからいくつかの質問があり応答するが、ポスターセッションでは10名ほどの方が別々に来訪し、別々の関心から質問があり、想定外の濃密なやりとりができて、とてもよい経験になった。
今回の法社会学会学術大会では、刑事事件ではなく、行政事件を含む民事事件への国民参加の論点について相当詳しく研究発表が行われていた。また、警察に対する公安委員会による監督の実効性についての論文が奨励賞を受けていた。これらの研究は、実は本件行政事件訴訟過程の事例研究とも関わっており、有益な刺激を受けた。
すなわち、実は本件行政事件訴訟過程の事例研究の現時点での結論は、道路交通法運用における1点から5点付加に対して行政事件訴訟での事件性、処分性、権利性を認めるべきだという、立法的、法解釈論的なものであったが、別の政策提案として行政事件訴訟を裁判員裁判化すること、公安委員会の組織的独立性を高めることなども併せて考察すべきという刺激を受けた。
なお「日本では、運転者の行為を警察官が物理的に現認できない場合に、国家は運転者を行政的に処罰できる。」という、健全な国民の感覚に基づけば、あってはならない仮説が本当に成立するのかという疑問があるかもしれない。
この点、最近では、次のような記事が見つかる。
時事通信(2026年2月14日)「交通違反で不正摘発か 2700件取り消しへ―容疑で巡査部長ら書類送検方針・神奈川県警」(2026.05.19.) ← リンク
類似の記事はこれまでも散見される。
つまり、「日本では、運転者の行為を警察官が物理的に現認できない場合に、国家は運転者を行政的に処罰できる。」という現象は確実に存在する。
では、健全な国民は、裁判所に取消訴訟を提起すればよいのではないかと考えるであろう。
上掲の神奈川県警の事件では、なんらかの理由があり、警察内部の監察が事件の公表に踏み切り、自ら2,700件取消した。しかし、この2,700件の被害者である国民が裁判所に取消訴訟を訴え出ても全敗する。詳しくは研究発表を参照していただきたい。
「裁判所に訴えても無駄。」
これ以上の司法に対する不信はあるまい。
外国に対して法整備支援、司法改革支援を実施する資格を有する日本でありたい。
文責:身玉山 宗三郎 教授 (法学・総合政策学・日本法社会学会会員)
大阪観光大学憲章 I, IV, VII.










