はじめに

平成21年度から始まった「学士力に社会人基礎力を反映させたキャリア教育コンテンツの開発」が、平成23年度をもって終了することになりましたので、ここに最終報告を行うことといたしました。

本プログラムは、文部科学省が全国の高等教育機関を対象に募集した「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」に採択されたもので、その選定の中で「工夫のある取組みである」と高い評価を得たものです。

具体的な取組み内容については、本報告書の中で順次、記述しておりますが、観光産業を始めとした企業に従事する人材を育成することを目指している中で、企業側が求める社会人基礎力と本学学士課程教育によって培われる学士力とのミスマッチを防ぎ、就職後の離職率を少なくするための取組みです。

本取組みの実施に当たり、企業の求める人物像(社会人基礎力や適正など)を一層明確にして、キャリア教育プログラムの中にこれを反映させるため、本学の卒業生が勤務する企業を中心に調査を実施しました。次に、この調査結果をもとに学生の視点での検討を行うとともに、キャリア教育の現場でこれらを反映させた教育プログラムを構築し、実施しました。

まず、教育プログラムの中身としては、学生に対して各種講座を開講し、個々の能力アップに対する動機付けの機会提供を図りました。また、留学生には、日本のビジネススタイルの理解と就職活動のスキル向上を目的とした教育を実施しました。特に、日本語教育において卒業時に全員が日本語能力試験N1レベルの合格を目標として留学生の就職力の向上を図りました。さらに、キャリアカウンセラーを配置し、学生が常時、相談できる体制を整えるとともに、企業の求める学生像を学生個人に浸透させることにより就職力の改善を図りました。

このプログラムの成果については、より長期的な視野で評価していく必要がありますが、現段階で3年間の取組み状況を取りまとめ、他の高等教育機関等による新たな取組みをより効果的に実施するための参考に供することは有意義であると思料されます。

3年間にわたり、本プログラムに積極的に協働していただいた多くの方々に感謝申し上げます。また、本報告書が学生支援推進プログラムに携わる方々の関心に応えることが出来れば幸甚です。

大阪観光大学 就職部長(観光学部教授)
土屋 渉